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設立趣旨

20世紀における日本の経済的発展は石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料および原子力利用によるエネルギーの大量消費によって支えられてきた。他方、資源の枯渇および環境汚染に対する危惧は、すでに19世紀の半ばから繰り返し指摘されて来ている。しかしながら、問題の重大さに関する社会的認識は今もって不十分であり、また、エネルギー有効利用および省エネルギー技術も未発達であるばかりでなく、普及も行われ難い状況にある。
この間すでに、植物の大量枯死の原因とされる酸性雨や、気候変動の原因とされる大気中の炭酸ガスの確実な増加など、取り返しのつかない数多くの環境変化が論議の余地のない事実として我々の身辺に起こりつつある。また、一方でいくつかの資源の枯渇が目前に迫っていながら、他方で産業および生活廃棄物の処理場の不足が緊急の問題となる程の、大量の物資が捨てられている。更に、原子力の利用に関しては、放射性物質を扱い、その廃棄物の処分、保管が必要となるため、常に価値観の相違と利害損得に起因する争いの原因となっている。
このような、エネルギー・環境に関連する問題は、世界、とくにアジアにおける多くの人口を抱える国々が急速に経済的、工業的に発展しつつある現状を見ると、国際的、世界的な視点での解決を考える必然性を有している事が極めて明白である。すなわち、我々が日本において、エネルギーの有効利用、および省エネルギー技術の進歩と普及を目指すとともに、徹底した省エネルギーに基づく活力ある社会システムを構想し、その普及に努めて、世界をリードして行くことが、将来の世代に対する緊急的な責務であると言える。
かえり見るに、京都は1200年にわたって、世界に誇る文化を生み育ててきている。エネルギー・環境という、今、人類が直面している最重要かつ最も困難な問題に関しても、その根本問題を勇気を持って直視し、抜本的な解決に向かう社会活動を起こすに最もふさわしい地であると言える。
ここに我々有志は、「京都エネルギー・環境研究協会」を設立し、将来の世代に配慮する多彩な専門技術者と支援者を募り、非営利団体として、エネルギー・環境関連の技術、ならびに情報収集とその解析、持続可能な社会システムの理念についての教育、広報の推進を通じて、社会に貢献しようとするものである。すなわち、本研究協会は、公正中立な第三者機関のひとつとして機能することにより、京都における活動から日本全国、世界の国々へと発信すると共に、実務的な実績を挙げ、広く公益に寄与することを目指すものである。

代表 新宮秀夫

Written by Shingu : 2001年04月02日 11:57

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