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中学生にわかる 「エネルギーとは何か?」

エネルギーとは何か(京都府宇治市立木幡中学校 体験学習レジメ)

我々のいる宇宙の中にあるすべてのもの、万物、について考えてみましょう。すると、それらは、形がなくて考えの中だけにあるものと、形のあるものとに分けられます。

○ 熱、光、音、電気、仕事などは形が無いように感ずるけれども、量を計ることが出来るから、やはり形のあるものに分類できます。

○ 科学的にわかっていることは、形のあるすべてのものはエネルギーである、ということです。

○ 「エネルギーがすべて」ですから、その基本的な性質を知ることは人間の生活上とても大切なことです。3つの重要なエネルギーの性質があり、それらは次のように示されています。

1. エネルギーは、熱、光、音、電気、仕事など様々に変化しても、その量は変化しない(エネルギー保存の法則)。

2. エントロピーという、熱エネルギーを温度で割ったものを考えると、エントロピーは、どんな変化が宇宙の中で起こっても必ず増える(エントロピー増大の法則)。

3. エネルギーやエントロピーの量を測るには絶対温度零度を基準にしなければならない。

○ これらのエネルギーの性質を理解するための実験モデルを考えてみましょう。
image004.gif図Aに示すように、80℃と20℃の同じ量の水があるとして、これらを混ぜ合わせれば、図Bのように50℃の水となります。今度は、図Aの80℃側の水から熱エネルギーを少しずつ20℃側の水に移動させ、理想熱機関を働かせて熱エネルギーを最大限度仕事のエネルギーに変換してやると、80℃側の水は冷めて行き、20℃側の水は温かくなって、最終的には同じ温度となります。その温度は48.6℃と計算できます。
エネルギー保存の法則によって、A, BおよびCの状態のエネルギーの量はおなじです。けれども、BからAには戻れない(エントロピー増大)けれども、CからAには戻れる(エントロピー不変)。この実験モデルは、世の中のすべての変化は、厳密には、元に戻れない事を教えてくれています。(AからBへの変化は、(80+20)/2 = 50、であり、AからCへの変化は、
image006.gif= 48.6+273、です)。

エネルギーを“使う”と言うことは、太陽からくる温度の高いエネルギー(エントロピー小)を地球上で温度の低いエネルギー(エントロピー大)にして宇宙に返すことです。

○ その他に、石炭、石油、天然ガスなど、何億年も前に太陽から来た温度の高いエネルギーがそのまま地下にたまったものを、掘り出して温度の低いエネルギーに変えることもエネルギーを“使う”ことです。又、地球が出来る以前に生まれた、ウラニュウムなどの元素を破壊して、温度の高いエネルギーを取り出して“使う”事もされています。

○ 自然にはバランス(平衡)というものが成り立っていないと、人間の住む環境が変化して、大変住みにくくなります。それが環境破壊と呼ばれる問題です。太陽から毎年来る温度の高いエネルギーを地上で“使う”というサイクルの中で人間は太古から生きて来たのですから、それはバランスが自然に保たれるシステムだったわけです。

○ 石炭、石油、天然ガス、原子力のエネルギーは大変便利でありがたいものですが、自然のバランスを大きく乱すものです。将来も人間が住み易い環境に生きるためには、従って、なるべく我慢して、少しでも太陽から毎年来るエネルギーだけで生活するように心がけねばなりません。それは将来生まれて来る人々に対する礼儀です。我慢や節約の生活が困る、と思うのは間違いで、人間は本来使うべきでないエネルギーを大量に使って、安易な生活をするよりも、少し厳しくても我慢する生活のほうが活力が出て、幸せに暮らせるのです。

Written by Shingu : 2003年02月14日 11:28

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