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耕作放棄地40万ヘクタール

新聞で日本の耕作放棄地の面積が埼玉県の広さ(約40万ヘクタール、日本国の面積の約1%)に達した、という記事を読んで、驚き呆れるとともに、これが時代か~、との感慨を持ちました。そして、それなら時代に合わせたエネルギー対策をするべきだ、という氣持ちで、耕作放棄された農地で太陽光発電した場合の、エネルギー勘定、費用見積もり、など試算しました。計算間違い、見積もり間違い、などご検討頂ければ幸いです。

 40万ヘクタール=4000平方キロ。太陽エネルギーは昼間の日照時には1平方キロ(100万平方メートル:18ホールのゴルフ場くらいの広さ)あたり、100万キロワット(1000W/平方メートル)ある。これはおよそ原子炉1基の発電能力くらいである。

 1平方キロの広さに、シリコン太陽電池を敷き詰めれば、効率15%、日照時間を1日4時間、として、 
約2.5万キロワット(25W/平方メートル)の発電が可能である(総合的な太陽光の電力への変換効率が2.5%)。もし、耕作放棄地の半分2000平方キロに太陽電池を敷き詰めれば、2.5x2000=5000万キロワットの電力が得られることになる。

 全国の消費電力は8月のピーク時では18000万キロワット近くになるが、常時ではその半分位である。、すなわち、耕作放棄地の半分で太陽光発電できれば、日本の電力総需要の約半分を太陽エネルギーで賄えることになる。ちなみに、2011年6月現在、日本の原子炉は54基、4896万キロワットの設備能力、とされている。

 太陽電池設置費を、100万円/kW (ネットで見る広告では産業用で25~30万円/kW となっているが、広告にある効率見積りは、上記で見積もった総合効率2.5%に対して、10%程度を見ているので、実際的な設備費を100万円/kW とした)とすると5000万kWの設備には、約50兆円掛かることになる。10年かけてプロジェクトを完了するとして、毎年5兆程度の国としての投資を10年続ける決断をしなければならない。その為に国債を発行するなら、それは赤字国債ではなくて、将来世代に対して、正当な言い訳のできる借金である。

 耕作地に穀物などを作る代わりに、そこで発電する。というのが上記の試算だが、その意味するところは、たとえば、米、が太陽エネルギーを1年間にデンプンとして固定するエネルギー量と、上記の発電した電気エネルギー量とを較べることである。

 1平方メートルあたり1年間の米の収量(約530グラム)とそのデンプンとしてのエネルギーから計算すると、デンプンのエネルギーを1 グラムあたり4キロカロリー(16.8キロジュール)、として、1年(3154万秒)で割ると、約0.3W/平方メートル、となり、エネルギーの吸収率は約0.03%である。太陽電池の設置可能広さは米を植える広さの半分であるとしても、太陽電池とお米とでは、太陽熱吸収率の比率は、
1.25 /0.03 = 41.7、となります。
 すなわち、太陽エネルギー固定率だけの観点からすれば、耕作放棄地で発電することは、穀物をつくって得られる太陽光の固定法の40倍位の高率なのです。もちろん、食料として貴重な穀物は単なるエネルギー量としては考えられないものですが、耕作放棄するなら、その場所で折角の太陽エネルギーを電気エネルギーに変えても罰は当たらないでしょう。


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注記:太陽電池の原料シリコンを製造する時には、
酸化シリコン(珪砂、何処にでもある白砂の
主成分、水晶はその純粋なもの)を炭素(木炭、
コークスなど)と一緒にして、1600℃以上に加熱
して還元する、その時に二酸化炭素(炭酸ガス、
温暖化ガスとされる)がでる。
太陽電池にしてしまえば、太陽光をうけて、いくら発電してもガスなど廃棄物は一切出ない。
作る時に発生した二酸化炭素量と同じ量を発生する
分の化石燃料で発電した時にできる電気量は、太陽電池発電の4年分(環境ペイバック期間)程度とされる。 製造コストのペイバック期間も約4年とされる。

太陽電池は機械的な装置と異なり、作動中に
動く部分がゼロであり、メンテナンス・フリー
であり、故障の確率も極めて低い、その点は、
風力発電などと大きく異なる。勿論、作動事故を起こす可能性もゼロに近い。

Written by Shingu : 2013年04月27日 07:19

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