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エネルギー、経済、倫理

「全国日本学士会誌、アカデミア146号(2014年6月号)に掲載」

はじめに 

エネルギーを消費する、お金を使う、ということを我々は毎日行っている。食事のエネルギーが消化されて脳を含む身体の機能を活動させていることを思えば、毎日と言わずとも時々刻々これをやっているのである。ところが、少し考えると部屋を暖房したエネルギーと同じ量のエネルギーは外気を暖め
て外気のエネルギーとなっているので、エネルギーの量は変わらない。エネルギー保存はエネルギー学の根本法則である。植木屋さんの手間賃にお金を “使った” らサイフのお金は減るけれども、それは植木屋さんのサイフに入るから、お金の量は不変である。

エネルギーもお金も “消費” しても消えて無くなるのではなくて、その “あり方” が変わるだけなのだが、あり方、の変化を我々は消費と呼んでいるわけである。そのあり方の変化の程度とか規模がエネルギー技術や経済学の根本問題なのだが、問題を分かりやすく扱うには、あり方の変化を “適当な指標” で数値により表現することが必要となる。

それを以下に考えるのだが、その前にもうひとつ考えるべきことは、“消費” により “あり方の変化” が起これば必然的に生まれる“あと始末” の問題である。なにをやってもそのあと始末が大切な事は、食事のあと片付けを思いだすまでもなく、社会生活の実感から誰もが理解できるはずである。いかに出したゴミの始末を実行するか、それができるか、の問題は “倫理” の根本である。

本稿のタイトル “エネルギー、経済、倫理”はそれらが、三つどもえ、で相互に不可分の関係にあることを示そうとしたものである。人類が、よろこんだり、悲しんだり、けんかしたり、仲よくなったり、しながらでも存続して行くためには、この、三つどもえ、の問題を改めて良く理解して個々の社会問題の正しい解決法の判断をせねばならない。逆にいえば、これを理解せずにその時の気分による誤魔化しの判断を続ければ、必ず破局がともなうのである。

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Written by Shingu : 2014年06月10日 16:54

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