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ヒートパイプで発電!(electricity generation by heat pipe

ヒートパイプは外部動力なしで(つまりモーターなどを使わずに)熱を輸送する工夫なのですが、装置の高温部で液体が気化すなわち蒸発する時に奪う大きな熱量が、装置の低温部で気体が凝縮する時に放出されるので、大量の熱を運べると同時に、熱を持って移動するのが気体なので超高速で大きな距離間の熱輸送が可能になります。

 ま~何事も良い点あれば困った点もあるもので、気体が熱を持ち運んで低温部(上部)で放出したら、そこに液体が発生するワケですから、その液にもう一度熱を運んでもらうためには、元の高温部(下部)に戻してやらねばなりません。従来のヒートパイプは液を元に戻すのに、気体が上昇したのと同じパイプの壁に棉のようなウィックと呼ばれる液体の浸み込む物質を貼り付けて、ジワジワと重力で液が降り下るようにしてあります。小生は10年ほど前にたまたま敦賀のエネルギー研究センターに勤めることになって、ずっと考えていた、ヒートパイプの低温部で出来た液が元のパイプでなくて別のパイプを通って戻り、その結果、液や気体がグルグル回って熱を運ぶような工夫が出来ないか、装置の作製にチャレンジしました。と言ってもいくらループ状のガラス管に液を入れて一端を湯につけても、液は内部で蒸発して泡が発生、右側に上ったり左側に上ったりして、グルグル回りはしてくれません。

 片側のパイプの下部に、いわゆる沸騰石と呼ばれる泡発生の起こりやすい軽石みたいなものを封入することは直ぐに思いついて試しましたが、少しは有効みたいでしたが、沸騰石の効能はすぐに劣化して、時々シバシバ、流れが逆転して頼りになりません。やり始めて3年、まだ懲りずにアレコレ試している時にやっと「夢のお告げ」があって、それは片側のパイプの下部に泡溜め、つまりガラス管中に、上に閉じた小さなスペース(瘤)を作れば泡は常にそこにあり、温度が上がればその泡が増殖し続けるョ、というのです。早速試したらなんと完璧に働く!液は気体を伴って何時までも(温度差が有る限り)回り続けることが発見できました。早速特許を書いて申請したら、アイデアが新し過ぎて、特許庁の審査官の先生もアドバイザーも原理が理解出来ずに、不受理!又申請し直しても、又拒絶。3回目には特別審判まで事が運んだので、今度コソと力を入れて原理の説明文を提出したら「分かった新発明である、拒絶判定を取り消す」と特許が下りました、ヤレヤレですね~。

 装置(工夫)は利用価値が高いのですが、学会とかでもなかなか古い方法がはびこっていて、世界的発明も未だ一般的になる所までは行っていませんが、ケニス(株)という教材の会社からは、モデルが発売されていて、これはボチボチ売れてるようです。

 とそんな事で新たな利用を漫然と考えたりしている所に、液がグルグル回るなら、それを動力として発電できないか?という相談を数人の人達から受けました。勿論そんなことは液が活発に動く様子を何度も見てる自分としては考えてはいましたが、動力的にはそれほど大きくないので利用価値は低い、と見限っていました。しかし、ハッと気づいたことは新発明の循環型ヒートパイプ(BACH) の性能のデモンストレーションには、少なくとも発電できる程の電圧を発生できる力で液が循環している、と一目で見せることは極めて有効であろうということでした。

 そこで、手持ちのガラス製BACH を使って、ミニ発電機をネットで探し回り、これを装着して発電を試みました。中学生を手伝いにして、LEDが発光する様を見せて威張ろうと、がんばりましたが、見事失敗、1ミリボルトも発電しない、つまり発電機が回らない!

 なにくそ、原理はゼッタイに間違ってない!と思いつつも液は回るときに後ろ向き動きを止める壁がナイから、動力に限度があるのか?と思いつつ、装置を拡大して試作、試して見たけどやはりダメ。と思いながら、続けてたら、ハッと気づいたらメーターが2ボルトまで上がってる、LDEを見たらナント、バッチリ明るく灯っている!兎にも角にも、ヒートパイプで発電したのは世界初間違いない!! という取りあえずのご報告です。今後なにをして行けるか、アイデアあればエネカンにお教え下さい。よろしく。

循環型ヒートパイプ(BACH) の動画と説明は下記youtube に載せてある。
発電については未掲載。
https://www.youtube.com/watch?v=xn9MRvScHh4
https://www.youtube.com/watch?v=FkECKXugE_4

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Written by Shingu : 2017年06月06日 17:08

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