鏡音楽 アベマリア 発想の転換
鏡音楽、というタイトルですが、昨年のエネカン総会の前、6月はじめに、ヘタなピアノを弾いていて、どうしても左手の指が思い通りに動かないので、同じ音符を右手で弾いて見ようとして、ハッと気づいたことです。一曲ぜんぶを右手と左手逆に弾いて見ること。つまり右手の音符が、ドレミとなっていたらそれを左手で、ミレド、と弾く、というようなやり方で曲を演奏してみることです。もちろん、♯は♭に変えて弾きます。発想はそれでオシマイですが、実際そんなことして、どうなるんや、と思ったのですが、やってみたら、なんと、少々聞きなれない音楽ながら、とにかく音楽にはなって聞こえる!とわかりました。
上の図のように、ピアノの鍵盤はレ(D)の音を中心にすると、左右対称になっています。ですから、音符をD→D, E→C, F→B, G→A , A→G, B→F, C→E, D→D,と書き替えれば、鏡譜ができます。
実際に楽譜を書くのは大変でしたが、エネカン会員のタレントのおかげ様で数曲鏡音譜ができました。
1年間かけて、こんな試みについて人に尋ねたり、調べたりして、この発想はすでに知られてはいることは分かりました。けれども、実際にこれを楽しんでいる人は少ないようです。今まで多くの人に鏡音楽の演奏や楽譜からの読み取りPC演奏を聞いてもらいました。変やね~、の一言が返ってくることも、ありますが、オドロイタ、スゴイ、という人も多いです。小生としては、自然の原理として、左右逆転の演奏が可能なのですから、これは鏡が自然にあるのと同じこと、鏡に映る顔がおかしい、といって知らん顔するのも不自然か~。と思っています。それ以上に、こんな素晴らしい音楽が正調の中に隠されていたのか!と感動しています。「鏡の国」に入ったアリスが聞いた歌はこんな音楽だったでしょうね。
【鏡音符】バッハ・グノー アベマリア | 【鏡調+正調で聴く】バッハ・グノー アベマリア |
【鏡音符】バッハ インベンション1番 | 【鏡調+正調で聴く】バッハ インベンション1番 |
【鏡音符】ハトポッポ | 【鏡調+正調で聴く】ハトポッポ |
Spiegel Musik(鏡音楽)として知られるモーツアルトの曲があります。これは前後逆に演奏できるように作られた曲で、左右対称の音楽ではありません。
数学的に、鏡音楽の解析をしたネット記事もあります。音楽の対称性が書いてあります。
http://math152.wordpress.com/2008/10/20/symmetry-in-music-pianos-and-keyboards/
鏡に映す、という原理は、数学の世界にも勿論あります。すぐに思いつくのは、高校で習った、関数と逆関数の関係です。2次関数、y = x2 の逆関数は、x = y0.5 = √y 、つまり、式をy について解くかx について解くか、という問題ですから、何も関数の本質は変わっていないけれども“見方”を変えれば面白い別の視点から数式の意味が理解できるわけです。
そこで、今号のエネカン冊子のあちこちにすでに書いた、数xとその数のインパクト、功利、utility, ア リガタサ、エントロピーとかをu で表した時に生まれ出た、u とx との関係(関数関係)を見返すと、x = eu, u =lnx の2つの式になっています。結局、ある数xの桁数をu とすると、これら2つの数は互いに、逆関数の関係なのです。関数と逆関数とをグラフで見ると、何と!これらはお互いに、y = x という直線を境(鏡という字に似てますね~)にして左右対称なんです。
ウィキから借りた左上図は、上記u を図上のyと見れば、重量xと重いという感覚u 、所持金¥と嬉しさu、エネルギー集中度(温度T)とエントロピー(S)などの関係をつなぐ鏡関係(逆関数)を表しています。
右上図は、xが増減したときのu の増減、とその逆。微係数、を描いたもの。自己逆関数?y=x, y=1/x になっている。
Written by Shingu : 2012年09月13日 15:33