エントロピーとは何か?・・・(2)
NPO法人京都エネルギー環境研究協会代表 新宮秀夫Hideo Shingu 2016/01/03、修正2017/06/16
1. まえがき
情報理論においてシャノンが考えた確率の評価法の新概念の名称について、フォン・ノイマンがそれをエントロピーと呼べば良いとアドバイスし、その理由として“エントロピーが何か分かっている人はいない”からそう名付ければその考えが論議される時にいつも優位に立てる、と言ったという話は有名である(1)。この逸話が語られてから50年以上経つ現在でも、エネルギー学などの基礎として皆が利用しているエントロピー概念の単純明快でだれにもわかるような説明は示されていない。
本稿では先ず、3つのキーワード、
I 「エントロピーとは数量を数そのものではなく、その桁で数えることである」
II 「数量の桁は数量の発揮する効用(utility) すなわちエントロピーを示す」
III「桁で数えるとは、数の対数をとることである」
によってエンロトピーとは何かを簡明に提示して、その妥当性が様々な分野で成り立ち、利用されて来ていることを示そうとするものである。但し、ここで数量として考えるのは、単位物質量あたりの体積、一人当たりの所持金額、など密度・濃度(またはその逆数)として示される数である。
エントロピーという言葉は、変化、変易、を表すギリシャ語に由来するもので、熱力学の分野における命名だが数量の増減が如何にその効果に変化をもたらすかの指標として適切な表現だと言えよう。
Written by Shingu : 2020年06月17日 15:53